【報告】「2020年度宇都宮市予算と施策に関する要望書」を提出しました

12 月 23 日、12 項目の施策と予算に対するお願いを市長に直接手渡しました。

1 台風第 19 号による被災に対する支援強化と復旧・復興、治水対策強化
2 支給温暖化対策強化と非常事態宣言発令
3 市民生活向上の施策実施
 ① LRT 事業の見直し
 ② 大谷スマートインタ計画見直し
 ③ 地域内交通の再検討
 ④ 東の杜公園への公共交通
 ⑤ 自転車自動空気入れの設置
4 教育・福祉の充実
 ① 学校給食無償化
 ② 給食食材の無農薬・有機化
 ③ 市立博物館・平和祈念館の設置

 

要望書PDFファイル
https://ideimasako.com/wp-content/uploads/2020/02/yosanyoubou2020.pdf

以下、要望書、全文

 

2020年度(令和二年度)宇都宮市予算と施策に関する要望書

      2019年(令和元年)12月
宇都宮市議会  緑の未来

 

宇都宮市長 佐藤栄一様

 いつも宇都宮市民のためご尽力を賜り心より感謝申し上げます。

 さて、今般の台風第19号は、全国に大きな被害をもたらし、本市内においても、一般市民の住宅への浸水を初め、事業所や農家への被害も甚大なものでした。

 商業、農産業など深刻な経済的損害を受けるとともに、多くの市民生活が破壊され、これまで築いてこられたかけがえのない「日常の暮らし」が奪われてしまいました。

 被災されましたみなさまに心よりお見舞い申し上げますとともに、愛する宇都宮市の苦難に際して佐藤市長のお苦しみとお悲しみはいかばかりかとご拝察申し上げます。

 今まさに宇都宮市は試練の時です。聡明なリーダーのもと、皆で力を合わせ、心を合わせてこの艱難を乗り越えて行かなければなりません。

 来年度の市予算を検討されるに当たりましては、この大災害の被害からの復興を何より優先させていただきたいとおもいます。さらに、2度とこのような災害、被害が起こらないための対策へ向けましても、十分な配慮がなされますよう重ねてお願いいたします。

 そして、市民の誰もが安心して幸せに暮らせる街を皆で築いていくために、また、将来世代の人たちに美しく温かい故郷うつのみやを残していくために、必要と思われることをまとめましたので、何卒ご同意賜りますようお願い申し上げます。

緑の未来 代表 出井昌子

 

2020年度(令和二年度)
宇都宮市予算と施策に関する要望

 

【1】台風第19号による被害について、被災者の支援、被災個所復旧と復興を最優先に取り組むこと。併せて、田川・姿川の水害をなくすための抜本的対策を行うこと

  河川や道路などの復旧については公的資金が投入され、少なくとも原状復帰がなされるであろうが、一般の方々の被災に関しては、市の規則に則った見舞金しか支援がない。

 市内では千波町を中心として、床上浸水した住宅は600軒にも及ぶ。氾濫した川の水が床上まで上ると、畳はもちろん使い物にならないが、木の床であっても細かい粒子の泥が入り込み、何度拭いても浮かび上がってくるので、張り替えざるを得ない。また、床下にも汚泥やゴミが入り込み、カビや匂いが発生して、衛生的にも看過できず床下全般の清掃やリフォームを余儀なくされるのが現状という。

 生活が壊されたうえ、何カ月にもわたって住居の内外の復旧を続け、精神的にも肉体的にもその苦しみは想像を超えるものと思料する。経済的にも多額の資金が必要となる。

 また、事業者も大きな被害を被った。姿川の蘭栽培農家では姿川の水が溢れ、初めてビニールハウスに浸水、蘭の鉢が水につかり、ボイラーなどの機械も壊された。

 中古車販売のお店では、2つの事務所が床上まで浸水した上、20台余の車が全部ハンドルまで水につかり、ほとんど廃棄処分しなくてはならず大変な損害になった。

 事業者の被害は、被害を受けた箇所だけでなく、生活の糧が奪われてしまうことで日々の収入がなくなり、生活さえできなくなってしまう恐れがあるという危機的なものだ。また、事業者のみならず、雇用している従業員とその家族の生活もかかっている問題でもある。しかし、事業者向けには低利の融資制度はあるが、市の見舞金などの支援金制度は一切ない。

 そこで下記の事項を要望する。

  1. 個人の住宅被災に関して、規定の見舞金だけではなく柔軟に資金的な支援をすること
  2. 個人事業主に対しては、低利融資支援にとどまらず、貸し付けではない市独自の資金援助をすること
  3. 田川・姿川はこれまでの治水対策の強化に加え、広大な貯水池の確保や、埼玉県春日部市の首都圏外郭放水路や神田川・環状七号線地下調節池のような効果的な洪水回避設備の建設など、抜本的な対策を国や県とともに行うこと

 

【2】地球温暖化への対策を強化し、「気候非常事態宣言」を行うこと

 今日世界は、私たち人類の活動、特に先進国を中心とした活動によって様々な地球環境破壊がもたらされており、その改善が叫ばれて久しい。地球は、人間を含めすべての動植物が暮らしていくたった一つの場所であり、すべての活動は地球があることの前提で成り立っているが、環境劣化の中で数多くの種の生物たちが消滅し、絶滅していっている。そして、私たち人間も例外ではなく、このままだと人類の生物的存続さえ危うくなっている。

 近年日本に大きな影響をもたらしている大型台風の発生やゲリラ豪雨などの異常気象は、先進国を中心とした二酸化炭素(CO2)を初めとする温室効果ガスの人為的な増加による気候変動の表れであり、日本だけにとどまらず、アマゾンの山火事、洪水、海面上昇、干ばつによる農作物被害・水不足など世界各地で頻繁に甚大な被害が引き起こされ、多くの人々や自然が犠牲になっている。このたびの台風19号では、宇都宮市内でも甚大で深刻な被害が広がった。

 産業革命以来、人間の経済活動に由来して温室効果ガスは増え続け、国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2018年(平成30)のCO2の排出量は331億トンに上り、過去最高量になった。それに伴い世界の平均気温も上昇しており、この気候変動を食い止めるため2016年(平成28)のパリ協定において世界175の国々が、「産業革命からの気温上昇を2度未満、1.5度は努力する」ことを目標に署名したが、この目標を各国が達成できたとしても、2100年には世界の気温が3度上昇すると国連は警告しており、もはや地球は危機的事態であることは明らかであり、気候変動をもたらす温暖化対策は喫緊かつ最重要課題であると言わざるを得ない。

 このような中、ある一人の16歳の少女が、世界の危機的現状を変えようと始めた行動に、世界中の760万人以上の若者が賛同して、自国の政治的リーダーたちに対策を講じるよう訴えるため立ち上がったことは記憶に新しい。

 そして、世界各国の1042にのぼる地方自治体でも、気候変動が喫緊の脅威であり、現在が非常事態であると認識し「気候非常事態」を宣言しており、その数は急速に拡大している。国として「非常事態宣言」を発している国もイギリスを初め9カ国に及び、日本では、九州の壱岐市が今年9月に地方自治体として初めて「気候非常事態」を宣言したが、その後鎌倉市議会をはじめ長野市など、他の団体・地方自治体も続々とこれに続く動きを見せている。

 そこで、宇都宮市がSDGS未来都市として、この世界的課題の解決に向け、気候変動による影響が甚大であることを市民の皆様に認識してもらい、それを宣言するため、「気候非常事態宣言」を行うよう求める。

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気候非常事態宣言(案)

 今日世界は、先進国を中心とした人類の活動によって様々な地球環境破壊がもたらされています。中でも大型台風の発生やゲリラ豪雨などの異常気象は、二酸化炭素(CO2)を初めとする人為的な温室効果ガスの増加による気候変動の表れであり、山火事、洪水、海面上昇、干ばつによる農作物被害・水不足など世界各地で頻繁に甚大な被害が引き起こされ、多くの人々や自然、動植物が犠牲になっています。

 日本各地でも、猛暑、台風、集中豪雨、洪水が相次ぎ、特に令和元年台風第19号では、国内の広範囲にわたり災害が発生し、本市でも市民生活に多大なる影響が及ぼされたと共に、商・農産業などにも深刻な経済的損害を受けました。

 産業革命以来温室効果ガスは増え続け、もはや地球環境は持続可能とは言えず、このままでは経済や社会に破局的影響が生じる危機的な状況にあることは明らかです。

 宇都宮市は、地球温暖化に起因する気候変動が人間社会や自然界にとって著しい脅威となっていることを認識し、ここに「気候非常事態」を宣言します。

 持続可能な社会を維持するためには、気温上昇を1.5度未満に抑えなければなりません。その目標実現のため、2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロへ向けて、これまで本市独自に先進的に行ってきた「もったいない運動」や公共交通の拡充などの政策と合わせて、SDGs未来都市として、社会全体で下記の活動に取り組みます。

  1. 「気候危機」が迫っている実態を全力で市民に周知します
  2. 第3次宇都宮市環境計画に基づき、これまでの「もったいない」運動、省エネ運動を更に徹底して実行します。またゴミの3RRefuse(断る)を加えて4R運動を推進し、フードロス、プラスチックゴミの廃絶にも取り組みます
  3. 公共交通の拡充をはかり化石燃料車の分担率を低くすると共に、2050年までに、市内で使用するエネルギーを、化石燃料から再生可能エネルギーに完全移行できるよう、地域新電力会社などと連携した取り組みを加速させます
  4. 森林、里山、河川を適正に保護管理し、市内緑化率を大きく高め、CO2の吸収と完全な治水、きれいな水を守ることを一体で推進します
  5. 国や県、関係諸団体に「気候非常事態宣言」についての連携を広く呼びかけ、相互による取り組みを推進します

 

  2019年(令和元)12月  日 

  宇 都 宮 市

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【2】市民の生活の向上のための施策実施

〈1〉交通に関すること

 LRT計画は、市民の合意を得ていない事業であるとともに、宇都宮市の公共交通としては、採算性、利便性、公共性等の観点からふさわしいといえない。

 同じく、大谷スマートインタチェンジ設置計画は、市民の合意を得ていない事業であるとともに、住民の生活を著しく破壊するものである。

 また、現在の地域内交通は、宇都宮市の公共交通として位置付けられているが、各地域で負担する部分が大きい。公共交通として路線バス等を補完する役目なら、現在は役目を果たしていないと言わざるをえない。

 また、宇都宮市東の杜公園は市民の霊園として新しく整備され、利用人気度も非常に高く、市民の憩いの場としても評価されている。ただ、アクセスが悪く、特に高齢者に対しての大きな課題といえる。

 また、宇都宮市は自転車の町を標榜し、市民とともにその利活用を推進しているが、公営の駐輪場に駐輪する際タイヤの空気を入れる方も多いと聞く。駐輪場には手動の空気入れが設置してあり、電動の空気入れが設置されている駐輪場も3か所ある。ご高齢の方からは、手動の空気入れは時間がかかる上に作業が大変だ、との声が多い。

 そこで下記の事項を要望する。

  1. LRT事業はただちに中止し、基幹公共交通はバスとすること
  2. 現在進められている大谷スマートインターチェンジ設置計画は、ただちに現行計画の位置を見直すか、中止にすること
  3. 地域内交通は、地域内に限られた運行形態を見直し、登録制度や地域負担などを撤廃した上で運賃の低額化、目的地設定の再検討などの改善をはかること
  4. 宇都宮市東の杜公園への公共交通を整備すること
  5. 市内の全自転車駐輪場へ、自動空気入れを設置すること

 

〈2〉教育・福祉に関すること

 学校給食は、保護者の経済的事情や社会的情勢に影響を受けることなく、すべての子どもたちがその当然の権利として、学校教育の中で誰もが等しく平等に、化学的に身体に安全とされた成長過程に必要不可欠な食物を摂取することができるものにするべきである。

 また、宇都宮市は古くから人々が暮らしていた、住みやすい土地であり、長く繁栄を続けて今、50万人余が住む都市となった。位置的にほぼ日本本土の中心部に位置し、交通のようしょうとも言える街であり歴史と伝統に溢れている。街のその発展に伴い様々な文化も発達し文化財も増えてきたが、宇都宮市には、そのような素晴らしい街の歴史や多数の埋蔵文化財などを一括集中して保存・管理、更に展示できる十分な能力を持った施設がなく、貴重なそれらの文化財は方々に分散して保存管理しているのが現状である。全国の大きな都市には必ずと言っていいほど市立博物館が存在し、市所有の貴重な埋蔵文化財や古文書などの資料を分散することなく市民全体の財産として集中して保管・管理し、常設展示や企画展示など、時代・時期・時事に合わせて活用したり、市民へ向けてのみならず、観光客など来訪者に対しても街の魅力をアピールしている。市民、特に子どもたちにとっては、常設された市の歴史などの展示を常に見られることは、自分たちのアイデンティティの確立に役立ち、自尊心やひいては思いやりの心が育っていく。市外の方には、まず市の自己紹介の場になり、宇都宮市がどんな町なのかを知っていただき観光振興にも発展する。

 そこで下記の事項を要望する。

  1. 学校給食費を無償にすること
  2. 学校給食の食材をすべて、無農薬・(遺伝子組み換えでない)オーガニックにすること
  3. 宇都宮市立博物館または平和祈念館などの歴史文化施設を設置すること

以上